本日は加賀友禅の留袖をご紹介いたします。
矢田博作 留袖
作者の矢田博先生は既に物故者で、昭和61年に亡くなられています。
題名は分かりません。
後を継いでおられる矢田秀樹さんにお聞きすればあるいは分かるかも知れません。
ですからこの作品は作られてから既に三十年以上経っています。
しかしどうでしょう、この美しさは。
柄を近寄ってみてみましょう。
配色と構図の美しさといったらありません!
写真だと派手に見えるかも知れませんね。
でも底は加賀友禅、金箔や刺繍を一切使っていませんのでこれぐらいの色使いをしていても、かなり年齢幅が広いのです。
もっと近寄りましょうね。
本当に細かいところが心憎い色差しが入っています。
長時間眺めていても全然飽きません。
むしろ次々と新しい発見が訪れて楽しくなってしまいます。
矢田 博
大正8年 石川県に生まれる
昭和9年4月 京都市衣棚竹屋町下る 土屋素秋氏に友禅見習いの為、上京。10年間友禅業修得
昭和30年3月 水野博宅にて加賀友禅に入職
昭和43年 独立して加賀友禅業を営み現在に至る
昭和47年9月 有限会社 矢田白にて発足
昭和50年9月 伝統産業加賀友禅競技会にて金沢市長賞受賞
昭和55年4月 伝統工芸士に認定される
昭和58年 石川県無形文化財加賀友禅技術保存会会員となる
昭和61年 逝去
今何故物故者の、それも30年も前の作品が手に入ったかというと、
あるところのある呉服屋さんが手放したからです。
ここでは詳しくお話し出来ませんが、加賀友禅が大好きでたくさん扱って作家さんのこともとても応援してくれていた呉服屋さんのコレクションをお譲り頂いたのです。
加賀友禅が最高にきらめいていた昭和五〇年代の作家さん。毎田仁郎先生・梶山伸先生・水野博先生・矢田博先生などの素晴らしい作品を、私はその方から託されたと思っています。
たくさん有って、とても私の財力では全て買い切れませんでしたが、大所は抑えられました。
しばらくの間、飾って虫干ししようと思っています。
加賀友禅が大好きな貴方、ゆっくり時間をとって見に来てください。
最高に楽しい時間をお約束いたします。
着物っていいね!
店主 花岡 隆三