第五十六回 日本伝統工芸展

昨日三越本店で開催されている日本伝統工芸展に出掛けました。
昨日は午後から日本工芸会の総会及び勉強会が行われるため、何人かの方とお会いする約束をしておりました。

開店と同時に入場し、一目散に染織のコーナーへ。
ゆっくりと目を通す。
今回石川県からは、友禅の二塚長生氏・毎田建治氏・四ッ井健氏、小紋の坂口幸市氏、紬織の木場紀子氏、以上5名の方が入選、いつもより多めで嬉しい。
しかし、この会場で一番感銘を受けたのが藍田正雄氏のお弟子さんの作品でした。

早速会場でお見かけした高崎の江戸小紋。正雄氏とお話しをする。
正雄氏の作品もぼかし染めの訪問着もとてもきれい。
しかし私は氏のお弟子さん2人藍田愛郎氏と菊池宏美氏の作品にとても心打たれました。
共に白場の多い染める人の技量がまともに出る型紙。
菊池氏の「杉木立」は、くっきりと凛々しく染め抜いて、直線で構成された型紙の意図を忠実に表現しています。

また、愛郎氏の「疋田行儀」は、大きな疋田を行儀にびっしり並べた型紙を使用。
ムラと型接ぎが出やすい柄を、息を殺しながら染めた様子が見ているこちらにも感じられて、思わず息を止めてしまう。
愛郎氏が隣で、「この型は一生に一度でいい、二度と染めたくない」と呟きました。
何ヶ月もこの型と格闘してきたとのこと。
氏の顔には、やり遂げた満足感が広がっていました。

正雄氏は、自分のことよりも愛弟子2人の入選とその作品の出来上がりがよほど嬉しい様子。
血のつながらない弟子に仕事場や貴重な型紙を提供し工芸展などに挑戦させる江戸小紋の先生がいるだろうか。
会場を笑顔いっぱいで動き回る菊池氏を見ながら、正雄氏の功績の大きさを実感しました。

その他当日お会いできた方。
加賀小紋 坂口幸市氏
琉球美絣 真栄城興茂氏
紬織 山岸幸一氏
加賀友禅 毎田建治氏
加賀友禅 四ッ井健氏
紅型 玉那覇有公氏
紅型 玉那覇有勝氏

会えなかったけど、米沢の新田源太郎君、初入選おめでとう!

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