本日より始まりました、坂口幸市先生の作品展。
16、17、18日は講演会と糊置きの実演をしてくださいます。
会場はこんな感じに仕上がりましたよ~どうです!?加賀小紋、華やかでしょう?
こちらは昨日ちょっとだけお見せしたものですね。
第43回日本伝統工芸会入選柄「松葉に梅」
ちなみに新小石丸というのは、歴代皇后様がお育てになっていらっしゃる蚕「小石丸」のハイブリット種です。
まずは坂口先生のお話しをうかがいます!
伊勢型紙の話しや、なぜ坂口先生が職人になったかという話、型紙を作ってもらうのにおいくらくらいかかるのかという話…
展開し、戻り、また展開し。まるで型紙で糊を置いていくよう(?)に話が進み、最終的に一反の反物になるが如く皆さん色んな知識を吸収されていきます。
真面目なことも、ちょっと面白いことも。
これも古典模様も活かしつつ新しい柄を作っていらっしゃる先生のお人柄のよう。
さあ、加賀小紋の糊置きの実演の始まりです!
実演の前から、型紙は水に浸して置いてありました。
型紙は濡れた状態で使います。乾くと縮んで型が合わなくなるので、糊置きの最中に乾いてくればまた濡らします。
糊が塗ってあった実演用の小さな板に水ハケをかけて糊を生き返らせて、布を軽く固定できるようにします。
そして、空気が入らないように、真っ直ぐになるように、布を置く。
簡単そうに見えますが、まずここからもう職人技。
大きなフィルムを何かに張る時、空気が入ってしまったことありませんか?
あれがあると糊がうまく乗らずに失敗してしまうのです。
型紙を置きますよ!
端から真っ直ぐに。
この虫ピンは、2回目から活きてきます。柄を合わせて固定するために使うのです。でも最初に置いちゃった方が後がスムーズなので。
そして糊置き。
集中力がいるので、先生も息を止めていらっしゃるそうですが、その真剣さに見ているほうも息が止まります。
「さくい糊じゃないと駄目だ」…さくい?方言かと思いましたが専門用語のようです。要は、にょーんと伸びる粘りのある糊は駄目ということ。
その、程よくさくい糊をひと型分置き終えたら次に移動。
時々、糊のムラがないか確認するために型紙を持ち上げたりもしつつ、
すごい速さでどんどん進んでいって…
あっという間に、実演用に用意させていただいた約2尺8寸の白生地に糊置きが終わりました!
では展示に移動して、ご本人の解説付きで作品を見ましょう♪
細かい柄に、皆さんついついぐぐーっと寄ります。
これはマメの柄でねぇ野でこーんなに育つんですよ、と坂口先生。
でも柄は小指の爪の先程細かいの!
後ろからそれを眺めるゑり華スタッフ。実は全員坂口先生の着物です!
左ふたりが浴衣型、右ふたりが加賀小紋です。
30分がたちました。
そうです。坂口先生と言えば唯一二枚白の技術を持っていらっしゃる方。
さすがに二枚白を実演で行うのは難しいので、今回はそれよりも大きめの「小地白」の型を使用しています。
1度目の糊が乾いたところで、2度目の糊置きですよ!
慎重に2枚目の型を下に合わせて置きます。
今回置いていくのは染料の入った赤い糊。なので、この紙で抜けているのは「地色には染まらないけれど色が入る」部分です。
2度目が済んだところとの差は、こんな感じ…
さあ、2度目も全部置き終わりました!
糊置きは1日で終わらせなければならないそうです。糊の色が微妙に変わってきてしまうから。
えー?そんなに?と思っていたらさすが坂口先生“昨日わざわざ”同じ糊を置いた生地を持ってきて下さっていました!
左が昨日置いたもの。右が先程終わったもの。糊が乾いたから?という次元ではない変わり方ですね。
同じ型でも世界にたった一つのもの。スクリーンやプリントでは味わえない世界です。
今回使ったのはこの2枚。
これで2回糊を置くと、上の柄になるわけですね。
で、す、が。置いているのは「防染糊」です。つまり黒いところは「染まりません」。
白いところが、地色になり、黒いところが白くなって出来上がってくるのです。
当店の白生地を実演に使ったので、なんとこの実演したものも先生が染めて仕上げてくださるそうです!
社長どんな色に指定するのかな?なにが出来上がってくるのかな?
楽しみです!!
届き次第またお知らせしますね♪
ちなみに柄は違いますが同じ先生の型紙。どのくらい小さいか、汚い指ですが添えてみました。
ネイルアートなら梅2輪が入りますね…型紙師さんすごいです。
もうひとつちなみに、型紙はワンセット6枚綴り(二枚白の場合はそれを2セット)です。
二枚白では番号が振ってあって、同じ番号のものを使います。三つ前の写真を見ていただけると分かるかな?4と四が相棒。
でも一枚目は紙の質が悪いものだから使わない。
そして、型が3寸5分(約13.6cm)なので一反につき100回置かなければならない。
糊置きができるのはせいぜい1枚で15~20反が限度だそうです。
伝統工芸展に出すようなより精緻なものはもっと寿命が短く7~8反程。
しかも今回のものは社長が無茶言うから、裏も染めて、全部二枚白で八掛けも作って…貴重で唖然としますよ…
多分、この記事を読んでくださった上でお値段を見ていただけるともっと唖然としていただけると思いますが。
その貴重な伝統工芸展入選柄ばかりの坂口幸市先生作品展、16日までです。
でも折角ですから、お時間がおありの方は日曜日までにいらして下さい。途中参加も大歓迎!
坂口先生とお話しすると、作品は勿論、お人柄のファンになること請け合いです♪
お松