吊り染めぼかし

しつこく、悉皆やさんの若旦那が持っていらした見本のご紹介です。
なぜかと言うとこの技法を知っていただきたいから!というよりは、正直申し上げて単純に、私が見ていて美しくて嬉しかったからです。
もちろんお店で日々いろんな反物を目にしても思うことなのですが、「わーきれいだなー素敵だなー」というものはお客様と共有したいの!
なので、今回は「吊りぼかし」のご紹介です。

と言っても、ぱっと見、グラデーションで染めるだけの話なのですが…
吊り染めぼかしは、微妙な色をひとつづつ染めて重ねていくことにより、従来のぼかし染めでは困難だった自然なぼけ具合がでてやわらかい表現ができる熟練の技を要する技法です。
引き染めと違って生地に圧力がかからないので風合いも損ねませんし、染め際をぼんやりきれいにぼかすことが可能で、濃い色のぼかしができることも、ぼけ足の長さ(色と色の境目の長さ)がとれることも特徴です。

とにかく見てください!綺麗だから!
そしてもうこの子たちは若旦那のお店に帰ってしまって、現物をお見せできないから!
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下の濃い臙脂色から少し橙の交じった色になり、最後には淡い桃色に。
はわー美しい。春は曙って名づけたい。

そしてこの色も。
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下は濃い緑色、うっすら紫がかった部分を経て、下に比べて薄い緑に。
夕焼けと夕暮れが山間の湖に写っているような風景が浮かびます。

お好きな地紋がはいった白生地、どうしようかな~何色がいいかな~って考える機会があったら、思い出していただけると嬉しいです。
濃淡をつけるだけというのもできるし、同じ色の濃淡の中間に別の色を入れることもできる、そう虹みたいにも!
そしてそれを、裾だけにも、裾も肩も袖も、というのも可能なんです。
ただ一色に染めるより、きっとずっと物語のある一枚になると思います。

お松

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